今回は規模と勢いに圧倒される中国広州のディープなスポット、沙河衣料品卸売市場(沙河服装批发市场)をご紹介します。
はじめに
まずこちらを簡単にご説明すると、この一帯がほぼ全て衣料品を売っているという巨大なエリアです。いうなれば、築地市場(今はないですが)の衣料品版という感じでしょうか。ですが、観光客はもちろんいません。売っているものは男性服、女性服、子供服、スーツ類、下着類など何でもあります。
しかも基本的には卸売がメインですので、お店の人にこれはいくら?と聞くと、どれくらいの数を買うんだと聞かれます。場合によっては、一枚一枚で売っていなかったりします。(100枚とかそういう単位が必要なんでしょうか)
この巨大なエリアですが、実際には小さな店舗が大量に集まっており、それぞれが大きな箱に入っていたり、店に面しているという形がほとんどです。
市場内②
まずここで歩いていて面白いのは、今中国でも見る回数が減ってきたパクリ製品がいまだあるということもあります。
グッチ
また、このように女性ものの下着だけをこれだけ整然と並べて売られているのを見ると、それはそれで厳か(?)な気持ちにもなります。
この市場は朝は3時や4時から動き出しているそうです。(早い!)
またこのエリアで商売をする人たちは20万人もいるとのことですから、ものすごい規模であることがわかります。また、東南アジア、中東、アフリカを中心に海外にも輸出されているようです。
成り立ち
この市場の生い立ちでいうと、改革開放後、80年代中頃には周辺の住民の需要に応じて通常の農産品などを扱う市場が形成され、それが80年代の後半には小店舗が一つ一つと集まりいつのまにか衣料品市場になったそうです。というのも、広州という大きなマーケットにありながら、広東省東部へのアクセスのよい位置にあり、仲買人がここから運びやすいということから(すぐ近くに広州東駅があります)、巨大な衣料品卸売市場になったようです。もちろん、衣料品を大量生産している広東省の中心、広州にあることもはずせないでしょう。
実際に、この子供服市場の目の前には高架になった鉄道が通っており、ディーゼル列車が黒煙をまき散らしながらゴーっと通り抜けます。
そして、ここを歩いていると、世界の工場、中国はまだ健在なのだと気づかされます。よく日本の製造業なんかでは、人件費などのコストが上がってしまったので、中国から撤退し、次はどこに行けばいいか、みたいな議論がされていますが(ここでは日本企業ではないと思いますが)、ここでは中国では今も大量にモノを作り、それが世界中に売られていくというのを肌で体感することが出来ます。
インターネット時代の到来
ここのすごい所は、モノの売り方がどんどん実態店舗からインターネットなどのオンライン上に変わっていく中で、通常このような実態店舗の市場は淘汰されてしまうのかと思いきや、時代に合わせてきちんと変化し、なおかつそれをチャンスとしてビジネスを拡大しているところです。
ここを歩いていると、タオバオ(中国大手通販)での売り方を教えます、というような看板をよく目にします。どうやら2010年頃から、オンライン上での販売も取り入れ、今や「インターネット服装卸売市場」なる建物もあるほどです。というか、オンライン販売が大半を占めているかもしれません。
タオバオで売っている服はこういうところから出荷されているのかな、とか中国全国の実店舗で売られている服はまずこの沙河服装卸売市場から出荷されているのかなと想像できます。
また、日本のアマゾンで売られている通常よりも安いものは、アマゾンが中国の業者から購入してそれを日本のアマゾンに出店しているということもよくあることですので、ここから出ているものもあるかもしれません。アマゾン中国の主要事業の一つに中国の中小業者が商品を海外に輸出するのを支援するというのもありますしね。
最後に
最後になりますが、ここに来ると正直綺麗で整頓されている訳ではなく、暑苦しさや乱雑さを感じますが、その一方でここで働く人々の勢いだったり、エネルギーを感じることができます。
また、今の日本の生活では、モノの売り買いで商売を意識することはあまりないと思います。ですが、ここに来ると、大きな言い方をすると、商売とは何か、ということを考えさせられますね。
中国や広州の面白い所を探している人なんかは一度足を運んではいかがでしょうか。
アクセス
広州地下鉄6号線の沙河顶駅から徒歩十分。体育西路や珠江新城からもそこまで遠くありません。タクシーの場合は、運転手がこのエリアのど真ん中はいつも混んでいるので行きたがらないと思いますので、近くで降ろしてもらいましょう。